ファンのSNSがジャニーズを好きになるきっかけに! 『くたばれ地下アイドル』小林早代子さんインタビュー【前編】

 今、アイドルファンの間で話題になっている小説がある。さまざまな角度から“アイドル”を描いた『くたばれ地下アイドル』(新潮社)だ。著者の小林早代子さんは、同作がデビュー作でありながら、鋭い観察眼とフレッシュな感性、そしてアイドルへの深い愛と興味を作品として見事に昇華し、高い評価を受けている。

 「実は最近ジャニーズファンになった」という小林さんだが、本書の中にはジャニーズ特有の“ファン文化”や、ファンがアイドルと向き合う時の繊細な心理描写が描かれており、思わず「あるある!」「わかる!」と口にしたくなる場面が多い。一体なぜここまで共感できる物語が書けたのか探るべく、小林さんの人物像を紐解くとともに、ジャニーズアイドルとその周辺の“おもしろさ”と“愛おしさ”について、話を聞いた。

『くたばれ地下アイドル』(新潮社)
『くたばれ地下アイドル』(新潮社)

■きっかけは「アイドル周辺を描いたら身近でおもしろいかな」

――まずは、『くたばれ地下アイドル』出版の経緯をお聞かせください。

小林早代子さん(以下、小林) 私は新潮社さんが主催する「女による女のためのR-18文学賞」という賞で、第14回読者賞をいただいてデビューしたのですが、この賞は1人3作まで応募できるんです。でも、私が本命と思っていた作品は二次選考ぐらいで落ちて(笑)、数合わせのつもりで出した「くたばれ地下アイドル」が受賞して……という感じです。

――『くたばれ地下アイドル』をご執筆されたとき、アイドルを題材にしようと思ったのはなぜですか?

小林 書こうと思った時は、そこまでアイドルが好きというわけでもなかったんですけど……。流行ってたから、ですかね。当時としては珍しい男性地下アイドルを題材にすれば、「目を引くかな?」っていう打算もありました。アイドル周辺が盛り上がってるなあ~とは思っていたんですけど、その時自分はわりと蚊帳の外っていう感覚でした。

 私が高校生ぐらいのとき、AKB48が急に流行ったんです。“アイドル戦国時代”なんて言われて、アイドルの数自体もどんどん増えていて、「となりのクラスのあの子が、どこの研究生で~」とか、「まゆゆ(渡辺麻友)と同じ中学だった!」みたいな会話が、本当にたくさん聞こえてくるんですよ。「友だちの友だちがアイドル」っていうのが、当たり前になっていて。アイドルが多くいるってことは、「アイドルの関係者」になると、もっとたくさんいますよね。アイドルの家族とか、友人とか、ファンとか。だからそういうアイドル周辺を描いたら身近でおもしろいかな、って思ったというのはありました。

――本書の中にも、「アイドルの子どもたち」というお話でアイドルの子どもが出てきますが、実際に小林さんの身近にいらっしゃったんですね。

小林 「友だちの友だちがアイドル」っていう子はすごく多いと思います。他人っちゃ他人なんですけど、そういう近い距離感は、普通にありました。

――確かに、地下アイドルなんかも含めると、今はアイドルの“絶対数”が増えてますもんね。

小林 そうですね、知名度は別としても。でも、ちょっとダサいですけどね、「私の友だち」ならともかく、「友だちの友だち」って(笑)。隣の学区だったってだけで自慢しますからね。「まゆゆと隣の学区だったんだぞ!」って(笑)。

――ついつい言いたくなっちゃうんでしょうね(笑)。本書には、表題作の「くたばれ地下アイドル」以外にも、アイドルにまつわる作品が4編収録されていますが、それぞれ参考にしたアイドルはいるのでしょうか?

小林 実は、直接参考にしたアイドルというのは、あまりいなくて。でも、これまでに影響を受けてきた、好きだったアイドルが3人いて。松浦亜弥さん、加護亜依さん、あと芸能活動をしているってだけでアイドルとは違うんですが、漫画『こどものおもちゃ』(集英社)の主人公・倉田紗南ちゃんです。

――全員女の子なんですね。

小林 そうですね、最初は女子アイドルが好きでした。ジャニーズにハマったのは、実はここ3年くらいなんです。

――加護ちゃん・あややって、20代半ばの小林さん世代だと、高確率で通ってくる道ですよね。

小林 ちょうどモーニング娘。が流行っていた世代ですよね。でもブームが去り、私もしばらくアイドルからは離れていたんですけど、小説を書き出したころにまずSexy Zoneにハマって、ファンクラブに入りました。ファンクラブに入るって、ジャニーズ以外も含めて人生で初めてで、結構重い一歩だったんですが……。でも、ジャニーズってファンクラブ入らないと、コンサート行けないじゃないですか!? 中でも松島聡くんを好きになって、「これはちょっと、ファンクラブに入らんといかん!」と思い、入会しました。それで、そのまま『ザ少年倶楽部』(NHK BSプレミアム)とか見ているうちに、「これはいよいよジャニーズJr.が面白いな?」となってきて、今に至ります。