「担降りブログ」「顔真似」「顔ファン」ジャニオタ文化はおもしろい! 『くたばれ地下アイドル』小林早代子さんインタビュー【後編】

 アイドルファンの間で話題になっている小説『くたばれ地下アイドル』(新潮社)。著者の小林早代子さんは、「ジャニーズにハマったのは、実はここ3年くらい」という“新米ジャニオタ”だが、アイドルの楽しみ方や「マイルール」が確立されている。また、ジャニーズファンならではの“文化”にも興味があるとか。後編では、さらに深く“ジャニオタ”としてのご自身について語っていただいた。

<前編はこちら>

『くたばれ地下アイドル』(新潮社)
『くたばれ地下アイドル』(新潮社)

■高橋優斗くんには“中2”でいてほしい

――最近ジャニーズにハマったという小林さんだからこそ、お伺いしたいことがあって……。ジャニーズのファンって、例えば“担降り”とか“同担拒否”とか、ちょっと独特な文化を持っているかと思うのですが、その中で小林さんが「おもしろいな」「こんなの他で見たことないな」と思ったものはありますか?

小林 「担降りブログ」ですかね。あれ、めっちゃ面白くないですか!? なんであんなに面白いんですかね(笑)? 顔も名前も知らない人が、あるタレントのファンを辞めるっていうことが、なんでこんなに切実に胸に響くんだろうと思って。彼氏と別れたとか仕事を辞めたとかよりも、「担当を降ります」っていうほうが切ないんですよね。しかもみんな、1万字ぐらい書く熱量がありますし。

――「担降りブログ」って、前向きな内容のものと、“恨み節”を書いているものとがあると思うのですが、小林さん的にはどちらが興味深いですか?

小林 私は恨み節の方が好きですね。自分自身、あまり湿っぽいところがないファンなので、めちゃめちゃネガティブなところを出してるブログのほうが、読んでいて面白いですね。

――「湿っぽいところがない」というと、ファンとしてのスタンスは、結構サバサバしたタイプなんですか?

小林 そうですね、女子・男子関係なく、アイドルと自分は割と距離があると思います。言い方は悪いですが、茶化して見ているところもありますね、アイドルを。

 私は今、ジャニーズJr.「HiHi Jets」の高橋優斗くんにすごく注目していて、「どういう風に好きなの?」って聞かれることがたまにあるんですが、彼についても、“好き”がうまく言葉にできなくて……。それでめちゃめちゃ考えたんですけど、優斗くんは私の中で「自分が塾講師のバイトしてる時、中2クラスにいてほしいジャニーズJr. 第1位」なんです。

――(爆笑)

小林 塾講師のバイトしたことある方ならわかるかと思うんですが、中2の担当って楽しいんですよ。中1はまだ乳臭い子どもだし、中3は進路でピリついてるけど、中2ってちょうど良くて。中2クラスに優斗くんみたいな明るい生徒がいたら、絶対超楽しいと思うんですよね。とはいえ、進路担当にはならず、週1コマ面倒を見るくらいの距離感でかわいがりたいという、無責任な思いがあります。

――それってジャニーズに置き換えると、「中1はダンスもトークもぎこちなくてハラハラするし、中3になるとデビューのことを考えないといけない。でも、中2はジャニーズとしてほどほど出来上がってきてるし、さらに進路も考えなくていい」みたいな。

小林 そうそう。だから、優斗くんには気楽な中2クラスにいてほしいんですよね。中3に上がるタイミングでバイトを辞める私のことをそれなりに寂しがって寄せ書きとかくれるけど、そのあと私のことはすっかり忘れて生きていってほしいというか……。意味わかんないこと言ってますけど(笑)。

――いやいや、頷いてるファンの方、結構いると思いますよ(笑)。

■外見は情報として1番正確性があるもの

――ジャニオタ特有の文化というと、本書の中に「君の好きな顔」という作品がありますが、これはおそらく、ジャニーズファンがメイクなどでアイドルの顔を真似する「顔真似」を題材にした作品ですよね。先ほど、「担降りブログ」がジャニオタの面白い文化だとおっしゃっていましたが、その中でもかなりディープな「顔真似」というジャニオタ文化にどうやってたどり着いたのか、とても興味があるのですが……。

小林 あるとき、SNSであるジャニーズの名前を検索したら、顔真似した自撮りをアップしているアカウントをいくつも見つけて、衝撃を受けたんです。顔真似のことを「雰囲気やってます」って、ちょっとボカした言い方をするのも含めておもしろいなと思って。もちろん、おもしろいからすぐ小説に書こうというわけではなく、「ジャニオタって、そういうこともしていたなあ」って感じで、作品に取り入れました。

――女子アイドルのメイクを真似したりするのとは違うのでしょうか?

小林 「顔真似」は“二次創作”に近いのかな、と思います。女の子が女子アイドルのメイクを真似するのは“リスペクト”だけど、顔真似をして、顔真似をしているファン同士で仲良くなったり、それを見て喜んだりするのはもう、二次創作と言う方が近いんじゃないかなと。

――顔真似って、女子アイドルのファンの間ではあまり見ないですか?

小林 女子アイドルの現場に行くと、メンバーそっくりな子とかはたまにいますけど……。女子アイドルの場合、本人がSNS上にいることも多いので、顔真似をしても盛り上がらないというか、気恥ずかしいのかもしれないですね。ジャニーズって本人がSNSをやらないからこそ、ファンが活発という側面もあると思っていて。本人がいないほうが、ウワサ話は盛り上がるみたいな。

 SNSを見てると、ウワサ話で盛り上がってる女子校の放課後の教室みたいな風景がず〜っと繰り広げられてるようで楽しいです。おもしろいことを言える子とか、情報をいっぱい持ってる子のまわりには、常に人がいっぱいいる感じ。