「帝国劇場でも気負う必要はない」観劇初心者に知ってほしい、演劇ライターが教える“帝劇の心構え”

『JOHNNYS’ King & Prince IsLAND』公式サイトより

 2018年12月6日~19年1月27日、東京・帝国劇場にて舞台『JOHNNYS’ King & Prince IsLAND』が開幕する。今年デビューしたばかりのKing&Princeが中心となる舞台とあって、チケット抽選もかなりの激戦だったようだ。また、デビューをきっかけにKing&Princeのファンになった人にとっては、今回の舞台が“初・帝国劇場”というケースも。

 そんな中、ネット上で活発に議論されているのが、「帝国劇場でのマナー」。帝国劇場は歴史ある劇場であるとともに、これまで多数のジャニーズアイドルが帝国劇場のステージに立ってきたため、ファンにとって思い入れが深い劇場のひとつ。そのため、「帝国劇場に行くときは服装を気をつけること」「コンサートではないので大声を出さないこと」など、いつの間にか作られた“帝劇マナー”を自ら発信するファンや、「マナーが守れない人は帝劇に来ないでほしい」「マナーの守れないキンプリファンが帝劇に来るのは迷惑」と強い言葉で主張する人も見受けられる。

 初めて帝国劇場を訪れる人にとって、舞台慣れしているファンの教えはありがたい反面、「観劇は敷居が高い」と感じさせ、新しいファンを遠ざけてしまうことにもつながりかねない。事実、ネット上では「舞台マナーってそんなに難しいの? キンプリのことは見たいけど、舞台に行くのは気が引ける」「コンサートと違うのはわかるけど、舞台ってどこまで気を使えばいいんだろう」といった不安や疑問を抱え、観劇を敬遠してしまうファンの声も散見される。

 そこで、ミュージカルや演劇、バレエや伝統芸能とジャンルを問わず劇場に足を運び、海外の演劇にも精通するライター・町田麻子さんに、「初めて帝国劇場に行くファン」に向けた心構えと、楽しみ方について聞いた。

――そもそも、帝国劇場は他の劇場よりも「歴史ある・格式高い」劇場なのでしょうか。

町田麻子さん(以下、町田) 劇場自体に歴史があることや、大作ミュージカルの上演が多いことなどから、舞台ファンの間に「演劇の殿堂」といった認識はあると思います。ただそれ以上に、役者にとってひとつの“憧れ”である、という部分が大きいかもしれません。なにしろ帝国劇場は1,800席以上と客席数が多いため、チケットの売れ行きが主演俳優の人気と直結して考えられる日本の演劇事情においては、「帝劇の客席が埋まる役者」というステータスは高いのです。それがファンの間の認識にもつながっているように思います。

――ではやはり、帝国劇場は他の劇場よりもマナーを気にして行くべき特別な劇場ということでしょうか。

町田 マナーについては、劇場・演目によりけりです。例えば、下北沢にある小劇場だったら、ベンチ席で鑑賞することもあるので、軽装のほうが便利です。逆に、バレエやオペラの劇場では、帝劇よりもさらに上のマナーが求められることもありますが、ジャニーズファンがよく行くであろう、帝劇・日生劇場・東京グローブ座ならどこもそう変わらず、「帝劇が特別」ということもないような気がします。

――初めて舞台を見にいくファンにとって、1番の悩みはやはり「服装」かと思います。帝国劇場に限らず、ジーンズやスニーカー、Tシャツなどカジュアルな格好で観劇するのはマナー違反だと思われますか?

町田 前述の通り、下北沢の小劇場ならカジュアルな服装での観劇は普通です。ミュージカルの劇場ではジーンズやスニーカーをはいている人はあまり見かけないですが、それは単純に、日本のミュージカルファン層が、元々カジュアルな服装を好むタイプではないだけかと(笑)。

 ミュージカルの本場であるブロードウェーについて言えば、アメリカ人は基本、カジュアルな格好の人が多いです。もちろん例外的な劇場もありますが、昨今のブロードウェーの観客はほとんどがアメリカの地方からの観光客ということもあり、観劇も観光の一環という感じで、「自由の女神」の見学帰りに劇場に来たりするので、服装もそのままだったりします。

――さすがミュージカルの本場、ラフな格好で気軽に舞台を楽しんでいるのですね。では町田さんは普段、どのようなことに気をつけて観劇ファッションを選んでいますか。

町田 私にとって観劇はわりと日常なので、「今日は観劇だから」という視点で服装を選んだことがありませんね……。確かに、スニーカーとジーンズでは行きませんが、それは「観劇だから」ではなく、「近所じゃないから」という意味合いです(笑)。襟付きのシャツときれいめなパンツ、足元はパンプスといった、仕事に行く時のような服装が多いですかね。

 でも、バレエやオペラを観る時は、普段は着ないワンピースを着てみたり、アクセサリーを多めにしてみたりはするかも。普段の服装でも、別にひんしゅくを買うことはないと思うのですが、そういう機会にいつもと違う格好をしてみるのは、単純に楽しいからです。なので、観劇が非日常的な、特別なイベントだという人には、「マナーだから」ということではなく、「楽しむために」服装を考えることをオススメしたいです。